区分所有法改正に伴う管理規約の課題と対応策
区分所有法改正に伴う
管理規約のリスクと対応策
2026年4月施行:規約未改正が招く現場の混乱を防ぐために
2026年4月1日、区分所有法の改正法が施行されます。この改正は、マンション管理の現場に数十年に一度の大きな変化をもたらします。最も注意すべき点は、改正法の施行と同時に、従来の管理規約の一部が法律に抵触し、その効力を自動的に失うという点です。
もし、管理組合が「規約改正」を行わず、お手元の古い管理規約の記述を信じて運営を続けた場合、どのような問題が起こるのでしょうか?
本レポートでは、「規約を変えないこと」自体が引き起こす具体的な法的トラブルと、現場でとるべき実務上の解決策について詳説します。
最大のリスク:法的安定性の欠如
規約の記載内容(組合員向けルール)と法律の効力(裁判所が判断するルール)が食い違うことで、総会決議が「住民には可決に見えるが、法的には無効」、あるいはその逆といった事態を招きます。これは管理組合運営の根幹を揺るがすリスクです。
1. 議決要件の「ねじれ」による混乱
「否決」か「可決」か?判断基準の乖離
改正法では、所有者不明化や無関心層の増加に対応し、合意形成を円滑にするため、特別決議の要件が「組合員総数および議決権総数の3/4以上」から「出席者の3/4以上」へと緩和されます。
しかし、規約を改正せずに放置すると、以下のような深刻なねじれ現象が発生します。
【例:出席率60%の総会で、出席者全員が賛成した場合】
- 古い規約の基準:全組合員の60%しか賛成していないため「否決」。
- 新法の基準:出席者の100%が賛成しているため「可決」。
この場合、理事長が「可決」を宣言すれば住民から反発を受け、逆に「否決」とすれば法的に成立している決議を無視することになり、善管注意義務違反を問われる可能性があります。
2. 小規模マンションの「定足数」の罠
20戸以下の小規模マンション等において、総会成立の定足数を「半数以上」としている場合、法律上の特別決議要件「過半数(半数を超える)」と衝突し、普通決議は通るが規約改正は審議不能という事態が起こり得ます。
20戸のマンション
10戸が出席(半数)
普通決議
規約通り有効
特別決議
法律上、無効(流会)
3. 「5日招集」規定の無効化
緊急時でも「最低1週間」が絶対条件
古い規約にある「5日前に短縮できる」規定は、新法では強行規定により無効となります。2026年4月以降、これを知らずに5日前に招集した総会は、手続きの瑕疵として決議取消しのリスクを負います。
4. 全議案への「要領」記載義務
改正後は、全ての議案について「議案の要領」の事前通知が義務化されます。欠席者や書面投票者が内容を正確に理解できるようにするための措置であり、これを怠ると決議取消事由に該当する可能性があります。
5. 損害賠償金の「散逸」リスク
| トラブルの種類 | 請求権の性質 | 規約改正なしのリスク |
|---|---|---|
| 新築時の施工不良 | 個人の権利の束 | 財産散逸 住民が持分相当額の返金を要求できてしまう。 |
第24条の2の重要性
解決金を修繕積立金として預かるためには、規約で「払戻し請求の禁止」を明文化しておくことが不可欠です。これがないと、大切な修繕資金が個人に流出してしまいます。
まとめ:管理組合の法的安定性を守るために
2026年4月の改正法への対応は、単なる事務的な規約の更新ではありません。それは、管理組合の財産を守り、将来にわたって紛争のない健全な運営を維持するための「防波堤」を築く作業です。
放置すれば、「お手元の規約」を信じて行動した理事が、意図せず法令違反を犯してしまうリスクさえあります。当事務所では、こうした混乱を未然に防ぎ、貴マンションに最適な形で改正法を適応させるサポートを行っております。
- 専門家による精査:強行規定に抵触する条文の特定と修正
- スムーズな合意形成:組合員向け説明会や総会での法的な裏付け提供
- コストを抑えた対応:必要な部分に絞った「部分的改正パック」のご提案
規約の古さがトラブルの火種になる前に、まずは当事務所へご相談ください。法的リスクをゼロにし、安心の管理体制を共に整えましょう。
\ 改正対応の費用についてはこちら /
